ラフロイグ 25年 カスクストレングス 2015's 46.8%

カテゴリ:
IMG_2609
LAPHROAIG
Aged 25 Years
2015 Cask Strength Edition
Cask type Aloroso Sherry & American Oak
700ml 46.8%

グラス:木村硝子テイスティンググラス
量:30ml+α
場所:持ち寄り会@蕎麦屋
時期:開封直後
暫定評価:★★★★★★★★(8)

香り:しっかりとヨードを含むスモーキーなピートフレーバーと、微かにチーズのような酸味。スワリングするとレモンやオレンジの砂糖漬けを思わせる甘さと皮のほろ苦さ、柑橘系の爽やかさを伴う熟成香。奥には木材の焦げたようなニュアンスも感じられる。加水するとバニラや乾いたオークフレーバー、塩素っぽさもある。

味:とろりとコクのある口当たり、ヨードを伴うピートフレーバーと共に、蜂蜜レモン、グレープフルーツ、土っぽさ、じわじわとナッティーで香ばしいピートスモークが鼻腔に届く。ボディは厚く、フレーバーは濃縮されて実に複雑。
余韻はスモーキーで序盤に感じられたヨード香がそのまま残り、ほろ苦くピーティー。
加水するとピートフレーバーは柑橘系のフルーティーさが強く感じられる。また、ドライでウッディーなニュアンスも余韻にかけてはっきりと感じられ、全体的にフレーバーが伸びてくる。

ストレート、加水共に良く出来ており愛好家卒倒の1杯だが、実はお湯割が旨いという一面も。熟成でカドが取れているためアルコールの揮発は柔らかく、口に含むとピートスモークとヨードがふわりと開いてなんとも言えない酔い心地に。。。

都内某所、蕎麦屋での日本酒会で出会った1本。ラフロイグが最近ほぼ毎年リリースしている、カスクストレングスの長期熟成版。現地を中心にリリースされているボトルですが、毎年平行品が少量日本市場にも流通しています。 
この25年、2014年リリースも美味しいは美味しいのですが、全体的に輪郭がはっきりしないというか、それほど高まらないボトルだったのに対し、今回の2015年は樽感とピート、そして熟成感を感じるフレーバーの凝縮感が素晴らしい。近年ボトルらしく若干の荒さも感じられますが、それでも前年と比べワンランク上の仕上がりとなっています。

原酒のベースは1980年代後半から1990年ごろの蒸留。フルーティさがはっきり出ていた時期の原酒に、樽の出方はリフィルオーク系で、原酒そのものの香味を後押ししており、バランスは良好です。
よくよく考えてみれば、2015年はラフロイグ蒸留所200周年の年だったわけで、気合が入っていないワケがないですよね。
バイセンテナリーリリースは15年、21年、32年と、どれも愛好家を唸らせてきましたが、この25年もまったく見劣りしない。むしろ、60~70年代蒸留寄りのフルーティーで長熟らしく落ち着いた32年の系統ではなく、15年や21年のベクトルで、完成度の高い香味が感じられるように思います。
言わば、もう一つの200周年記念ボトルの形・・・と言って良いかもしれません。いやぁ~これはグットリリースです。

他方、そんな秀逸なボトルを、ロックでも加水でもなく、よもやお湯割りで呑もうなんて・・・と初めて聞いたときは驚きました。
しかしボトル持ち主であるS兄さんオススメとあれば、試さないワケにはいきません。
旨い、確かに旨い。そしてこの背徳感。体中にヨードを含むスモーキーフレーバーと、バニラや柑橘系の甘みが染み渡っていくようです。
暖かいラフロイグがこうも旨いとは。。。っていうかこんなこと私の頭じゃ思いつきませんし、思いついてもまず実行しません(笑) 

素晴らしいラフロイグとの出会いに感謝すると共に、新しい飲み方も、まだ寒さの続く今こそ別なラフロイグでも試してみたいです。

デュワーズ ホワイトラベル NA 1960年代流通 ティンキャップ 43%

カテゴリ:
デュワーズ ティンキャップ
DEWAR'S
White Label
Dewar's Finest Scotch Whisky of Great Age
(No Aged)
1960's
760ml 43%

グラス:テイスティンググラス(名称不明)
量:30ml
場所:BAR飲み(BAR to entrance)
時期:開封後数ヶ月程度
評価:★★★★★★(6)

香り:ほのかに金属臭があるが、スワリングするとカルメ焼きやザラメを思わせる甘いアロマが開いてくる。徐々に乾燥した草っぽさと内陸系のスモーキーフレーバー。微かなハーブ、色の濃い蜂蜜、あるいはみたらしのメローな甘さも感じられる。

味:口当たりは軽くスパイシーで乾いた麦芽風味とコクが感じられる。モルトスナックを思わせる軽やかな香ばしさと干し藁の乾いた植物感、ママレードやカラメルソースのほろ苦さ、余韻にかけてスモーキーで、染み込むように続く。


昨年、ハイドアウトクラブの関係で来店した高円寺のBAR to entrance(エントランス)で頂いた1杯。オールド市場の中でも人気の高いデュワーズ、その1960年代流通のティンキャップボトルです。
デュワーズは、古くは戦前1900年代から日本に輸入されていましたが、第二次世界大戦の影響で輸入がストップ。再会されたのは1969年(スコッチオデッセイ著)とのことで、本ボトルを含むティンキャップ時代のデュワーズの国内流通ボトルは非常に希少という事になります。 

ただ、希少ではあるものの、キャップ臭という状態に難のあるのがティンキャップ。やってしまったボトルはマジでどうにもならないですからね。
このボトルは・・・というと、若干そのニュアンスを感じるものの、香味は良い具合に開いていて、構成原酒であるアバフェルディとグレンオード、古き良きハイランドモルトが織りなす麦芽系のコク、決して強くは無いけれど存在感のあるスモーキーな味わいが感じられ、しみじみ旨い1本でした。

※戦前のウイスキー事情は以下のウイスキーマガジン「戦前の日本とウイスキー【全3回】」が詳しい。第一回にはデュワーズの記述も見られる。内容の濃い読み応えのある記事です。
ご参考:http://whiskymag.jp/whiskyhistoryinjapan_1/   

IMG_2338
ちなみに、このボトルはBAR飲みだと1ショットそれなりなお値段になる事もしばしばですが、「高円寺価格ですから」と、かなり安価な設定で頂けました。
エントランスは総本数こそ多くないものの、所謂地元の止まり木としてはボトルも現行品からオールドまで程よく揃っている、WEBの情報じゃ絶対わからないお店。こんなBARがあったのかと、お店との出会いにも感謝です。

サントリーウイスキー 響 1990年代流通 43% 第2期ボトル

カテゴリ:
IMG_2983
SUNTORY WHISKY
HIBIKI
(No Aged)
1990's
750ml 43%

グラス:木村硝子テイスティンググラス
量:30ml以上
場所:自宅
時期:開封後2ヶ月程度
評価:★★★★★★(6)

香り:最初はみたらしや干し柿を思わせる濃い甘さのあるアロマだが、徐々にオーキーで華やかな熟成香が開いてくる。林檎のカラメル煮、熟した洋梨。加水すると奥にあった華やかな要素が前に出て軽やかに香る。

味:とろりとリッチな口当たり、鼈甲飴を舐めているような甘みから、ウッディーで心地よいほろ苦さ。中間は少し軽いが余韻は軽くスパイシー、干し柿、ドライフルーツを思わせる粘性のある甘みが口の中に張り付くように残る。加水すると香り同様華やかさはあるが、やや水っぽさが出てしまう。

経年由来か若干のヒネがあり、また原酒構成も少々乱暴な印象を受けるが、現行品の響17年に共通するブレンデッドらしい多彩な香味が感じられる。香りは加水、ロック共に良い変化があった半面、味はやや水っぽくなってしまった。レーズンなどとあわせると甘みが補われて良いマリアージュとなる。
IMG_2988

ファーストリリースの響(1989年4月)から約1年後、1990年に入ってから市場流通した響です。
この時期のボトルの特徴については、金色のヘッド、ネック部分に金のワンポイント、そして大きく書かれた響の文字と、一目見ていただければ判ると思います。
ではファーストリリースとの違いはというと、それは1箇所、ラベルの"SUNTORY WHISKY"の上にあるロゴマークが、1989年まで使われていた"向獅子"から"響"に変わっているところにあります。
これは1990年に"人と自然と響き合う"が企業方針として採用されたことを受けて変更されたもので、ここだけ見ればある程度時期の特定が出来てしまうのが、サントリー製品の見分け方のポイントとなります。

その中身ですが、リッチで美味しいブレンデッドウイスキーであるものの、初期ロットの響に比べてミズナラ系の香味や濃い熟成香が薄くなり、ややバランス型に移っているように感じます。
また、テイスティングにも記載したように、加水で中間が弱く水っぽくなってしまうのが惜しいですね。これはノンエイジ時代の響に共通する特徴で、最初は現行品以上にぶわっと口の中にモルティーなフレーバーや熟成香が広がるのですが、それが長続きせずにボディや余韻が先細りしてしまうのです。 

ロックやハイボールなどの変化も同様。現行品が良く考えられて作られているなと感じるのはこの部分で、おそらく当時は熟成年数の長いモルトは使えたものの、グレーンや原酒の種類、あるいはブレンドの技術という点では、まだまだ手探り状態だったのではないかと。
あくまで主観ですが、響のラベルはNA時代から現行品まで5パターンくらいリリースされている中で、17年表記となる2000年頃にかけて完成度が高まっていく印象です。 

image
(響の初期ラベル。ロゴマークは向獅子が採用されている。)

なお、先にも少し触れましたが、響のノンエイジ時代はギフトとして相当数が出回り、多くの酒販、個人宅などで保管されていたモノが多数中古市場に出回っています。
そのため、数年前までは非常に安価で手に入れることが出来、普段使いや会社の飲み会への持ち込みなど、随分使わせてもらいました。
一方で、そうした保管状況の違いから横置きコルク臭や温度変化などから来るヒネ香など、ボトル毎の状態にかなり差もある印象。今回のボトルはヒネはそれほどでもないものの、少しコルク臭が感じられました。 

今なお、古い酒屋で当時のボトルを見つけたと、発見報告を見ることも少なくないわけですが、1990年代のボトルはだいぶ"やられている"ものもあるので、保管状態はよくチェックされた上での購入をオススメします。

このページのトップヘ

見出し画像
×