ボウモア ホワイトサンズ 17年 43% 免税向け ブラインド

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ボウモアホワイトサンズ17年
BOWMORE
WHITE SANDS
Aged 17 years
700ml 43%

グラス:木村硝子テイスティンググラス
量:50ml
場所:自宅(ブラインドサンプル)
時期:不明
暫定評価:★★★★★★(6)

【ブラインドテイスティング】
地域・蒸留所:ボウモア
熟成年数:18年程度
度数:43%(加水)
樽:リフィルシェリーを含む複数樽

香り:塩素系のスーッとするアロマ、焦げた木材のようなスモーキーさ。ややケミカルさの混じるトロピカルなフルーツ、風邪薬シロップ(オレンジ風味)、アップルマンゴー、ハーブ。スモーキーでどこか爽やか。

味:オイリーでまろやか、ナッツ、乾いた麦芽風味から、ピートフレーバーと若干の紙っぽさを伴うケミカルなフルーツ。オレンジママレード、ドライマンゴー、樽由来のバニラ、徐々にグレープフルーツの苦味。ボディはミディアム程度だが、多彩さがある。
余韻はピーティーでスモーキー、ヨードや魚介系のニュアンス、塩気を含む心地よくドライなフィニッシュ。

ボウモア、という以外に表現しようがないが、熟成感が適度にありつつフルーティーで、現行通常オフィシャルで飲んだことがないレシピと感じる。免税向けボトルだろうか。複数樽由来と思しき多彩で異なる要素が飲み方次第でマイナスになりそう。加水はNG、ストレートで。

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個人的に毎月の宿題というか今年の活動の一つ、第三者にサンプル選定を依頼して行うブラインドチャレンジ。6月に実施していた分ですが、更新が遅れてしまいました。
今回もボトルはドーノックさんで調達。最近だいぶボトルを調達されたようで、久々にページを見たところ、海外流通品含めラインナップが大幅に拡充されていました。

さて、予想の経緯ですが、味、香り共に中々しっかりとしており、ボウモアらしいフルーティーさに加えて、オレンジっぽいニュアンスが印象的。
香味も多彩で、バーボン樽以外にシェリー系、それもガツガツした1st fillではなく、リフィルシェリーホグスタイプの樽が使われているのではないかと感じました。(※メーカー表記ではリフィルバーボン樽が主体とされています。)
加水を感じさせる、序盤のオイリーな口当たり。熟成感は程よく、紙っぽい感じが少し混じるので原酒は2000年まで行かないにしても1990年代後半蒸留の近年リリースと推察。 

複数樽バッティングで加水となるとボウモアはほぼほぼオフィシャルボトルとなるわけですが、この熟成年数の通常ラインナップはパフューム香が残っているため、現在日本で流通するボトルで該当するレシピのものは無いと判断。免税向けの近い熟成年数のものか、本国で流通し始めた18年あたりではないかと予想。 
テイスティング経験が試飲程度だったので、ホワイトサンズ17年である確証は持てませんでしたが、一緒にブラインドを行なったメンバーの一人である某S氏がゴールドリーフ、自分がホワイトサンズで予想し合って結果発表を待つシーンもありました。
何か試合をしているようで楽しいひと時でした。


ボウモア・ホワイトサンズ17年は2014年に免税店向けにリリースされた1本で、ボウモア蒸留所近くの砂浜をオマージュしたリリース。この他、ゴールドリーフ、ブラックロックとあわせ、3銘柄がほぼ同時期に発売。どれも1番熟成庫で熟成させていることも売りにしています。
加水ではありますが、市場価格10000円を切る設定で1997年以前に蒸留された90年代ボウモアで構成されたボトルというのは、現時点のボウモアリリースが2000年を越え主流となりつつある中で、中々お買い得なスペックなのかなと感じます。 (パフューム香がないのも魅力です。)

このホワイトサンズ、本国では終売との噂。調べてみると確かに公式サイトからボトルが消えています。
次期18年がこの構成なら良いのですが、それでは実質値上げでしょうし、買いなのかもしれません。

この夏イチオシのハイボール 四川山椒が決め手のシビハイ!

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関東地方、急に暑くなりましたね。
高温多湿、まるであんかけのような暑さ。少し前まで夜はまだ涼しかったのに、最近は気温が下がらずぬるりとした空気・・・。これからさらに暑くなるわけですから、いよいよ今年も夏がきたなーという感じがします。

こうも暑いと1日の終わりはハイボールで体の中に滞留する熱を抜いて、スッキリさっぱりしたいところ。
そんな時期にオススメしたいのが、爽やかな香気と鮮烈なスパイシーさが病みつきになる、四川山椒をトッピングした痺れるハイボール、略して"シビハイ"です。


準備するものは
・四川山椒(花椒、または藤椒)
・ミル
・ベースのウイスキー
・強炭酸の炭酸水
・ロックアイス

ベースとなるウイスキーに特段縛りはなく、普段ハイボールに使う角でもブラックニッカでもなんでも良いですが、安定して美味いのはタリスカー。
ともすると、ディアジオがプッシュしてる、タリスカーと黒胡椒のスパイシーハイボールの山椒版のようでもありますけれど、胡椒の辛味とは異なる痺れるような刺激と果実を思わせる清涼感が最大の特徴です。

他の組み合わせとしては、四川山椒の香味が強いため、ライトなウイスキーよりアイラモルトのようにピーティーで香味が強いほうが合わせやすい印象。しかし試してみると、大抵のウイスキーはマッチしてしまう不思議な汎用性も感じられます。
下の写真にあるようなオーソドックスなジャパニーズやオールドブレンデッドはもとより。一般的にハイボールに向かないとされるシェリーカスクのウイスキーでもそれなりにまとめあげてしまうのは、組み合わせを試していて面白かったです。

(地ウイスキーのハイボールでも爽やかな味わいが楽しめる。笹の川酒造963の新商品はピーティーな黒ラベルとソフトなコクのある赤ラベル、それぞれ良さを感じる味わいに。)

この"シビハイ"を自分に教えてくれたのは、目黒のBAR Gosseの油井さん。
スタッフの1人が山椒好きで、「それならハイボールにかけても面白いんじゃ」と試してどハマりしたのだとか。
自分も話題のタネにと頼んでみたわけですが、「まぁ言うても普通が一番でしょ」なんて思いながら一口飲んで、おいおいこれは面白いぞと、ミルをプッシュして追い山椒。
ピーティーでボディと淡い酸味のあるタリスカーハイボールに、独特の爽やかな香気が混じり、上唇に残るビリビリとした痺れる刺激が心地よい。しかも妙に後を引く。。。飲み終わる頃には、密林で四川山椒とミルをポチってしまいました。
また、この日はじめてシビハイを頼んだというお客さんが隣におり、そこからひたすらそれだけ8杯もおかわりしていたのは衝撃でしたね(笑)

シビハイのポイントは、日本の山椒ではなく、刺激がさらに強い中国の四川山椒を使うところにあります。
どちらも似た風味ですが、例えば麻婆豆腐に使われているのは四川山椒であるように、種類によって香味の違いと適性があります。
日本の山椒を使うハイボールといえば、サントリーが知多ハイボールのレシピとして山椒の葉をトッピングするスタイルを公開しています。しかしあちらはその特性上香りづけがメインです。 
これをもって発祥がどうとか主張するつもりはありませんが、こういう使い方もあるという、スパイスの系統として使い分けていければなと。

また、シビハイは食事との相性が抜群に良く、特にニンニクを効かせたような肉料理や中華などとは、過去経験をする限り他のウイスキーハイボールの追従を許さないと感じるほどです。
先日、友人宅での持ち寄り会兼ホームパーティに、アンガス牛のステーキとタリスカー10年のシビハイを食事パートで持参したのですが、他にもウイスキーが大量にある中で、普通のタリスカー10年が1本まるっと昇天してしまうほどでした。

四川山椒とウイスキーハイボール、この組み合わせは、より一層の刺激と共に中毒性にも似た何かがあります。
鰻重や中華料理にドバドバと山椒をかける方が居ますが、その気持ちがわかってしまうような。。。
必要なミルと四川山椒は、アマゾンで2000円程度(勿論送料無料)で購入できますので、自宅で色々チャレンジされても面白いかなと思います。
今年の夏は、是非"シビハイ"を試してみてください!

クライヌリッシュ アデルフィー 20年 1996-2016 ヘルムズデール20周年 51.8%

カテゴリ:
CLYNELISH
ADELPHI SELECTION
Aged 20 years
Distilled 1996
Bottled 2016
20th Anniversary Helmsdale
700ml 51.8%

グラス:サントリーテイスティング
量:ハーフショット
場所::BAR飲み
時期:直近開封
暫定評価:★★★★★★(6ー7)(!)

香り:嫌味の少ない華やかな樽香が充実している。綿菓子やバタークッキーの甘さに続いて、ドライパイナップル、柑橘の爽やかなアロマ。

味:口当たりはオイリーでバニラ、麦芽のリッチな甘み。ハチミツ、熟した洋梨、レモンパイ、徐々にピリピリとした刺激が感じられるが、厚みのあるボディ。少しワクシーで蝋っぽさも。
余韻はスパイシーでドライ、華やかで長く続く。

香りの嫌味のなさ、味わいにらしさを感じる構成。近年のクライヌリッシュとしては頭一つ抜けた印象。今後の変化が楽しみなボトルでもある。加水するとバニラ、麦系の甘みが引き立つ。


青山のパブ、ヘルムズデールが同店20周年を記念してボトリングしたクライヌリッシュ。リリース当時から評判良くわだいになっており、時間も経ってますので飲まれた方も多いのではないかと思います。

同店はこれまで精力的にオリジナルボトリングを行ってきた実績があり、ボトラーズ受難の昨今にあっても、今回に限らずキラリと光るカスクをチョイスしてきました。
オリジナルボトリングでは、カスク選定を行う関係者の眼力もさることながら、「如何にいいカスクを出してもらえるか」という"繋がりの力"もモノを言うように思います。
勿論、それはお金の力でも賄えるかもしれませんが、今回のように直近の市場価格で見ても逸脱しない範囲であれば、やはりこれまでの積み重ねによる繋がりの力と、選定者のセンスだなと思うわけです。

クライヌリッシュのキャラクターと言えば、オイリーで麦芽風味の強い厚みのある酒質がまず候補に上がります。
70年代、特に80年代のキャラクターはその系統が強く、それが魅力であったわけですが、近年、原料の変化からかこのオイリーさや麦芽風味が弱く、そこに樽が強くでてドライな系統に振れているボトルが散見されるようになっていました。

であればオフィシャルでいいじゃんとも言えるわけですが、個性が突き抜けるこの感覚は、バッティング加水では得られない、完成度の高いシングルカスクならでは。
今回のように80年代のクライヌリッシュを思わせる構成のボトルに出会えると嬉しい気持ちになります。
近年蒸留故、強いて言えば中間から樽感との乖離が若干感じられたように思いますが、この酒質にこの樽感、間違いなく開封後の変化か瓶熟でいい方向に変化していくものと思います。
歴史を感じつつ、将来に想いを馳せることも出来る、まさにグッドボトルでした。

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