タムデュー 25年 1990-2016 OMC 信濃屋向け 56.9%

カテゴリ:
TAMDHU
OLD MALT CASK
SPEYSIDE REGION
Aged 25 years
Distilled 1990
Bottled 2016
Bottled for SHINANOYA
700ml 56.9%

グラス:木村硝子テイスティンググラス
場所:個人宅
時期:開封後3ヶ月程度
評価:★★★★★★★(6-7)

香り:ドライで華やかなアロマ。乾いた麦芽とエステリーな熟成感、ドライアップル、オレンジピール、乾いたウッディネス。時間経過で蜜のような甘い香りも。

味:とろりとした口当たり、エステリーで蜜のような甘み。りんごのコンポート、ナッツや麦芽風味のアクセント、しっかりとした熟成感。
余韻は華やかなオークフレーバーからスモーキーで内陸ピートが染み込むよう。ドライでヒリヒリとしたやや硬いフィニッシュ。

古き良き時代を思わせる、ピートの香るオールドスタイルなスペイサイドモルトだが、現代的なエステリーさも融合している。華やかな樽香と蜜のような熟成感、樽と酒質のバランスは良好で、ここにスモーキーさの合わさる余韻は、個人的にストライクゾーン。開封直後は少し硬い。少量加水すると香りが開き、さらに楽しめる。


信濃屋のプライベートボトルとしてリリースされた、OMCのタムデュー。
タムデューは個人的に好きな蒸留所の一つですが、それはオールドボトルや1960-70年代蒸留のボトラーズの長期熟成が思い浮かんでのこと。
近年のタムデューの酒質は、麦感のある素朴な酒質でボディもほどほど、率直に言えばぱっとしないしみじみ系というイメージでした。

それが今回のボトルは、かつてボトラーズリリースで多く見られた長熟スペイサイドの熟成感と、バーボンホグスヘッド由来の華やかなオークフレーバー。
例えるなら、普段地味な友人が突然バリッと着こなして来たような感じでしょうか。あれ、おまえこんな感じだったっけ!?と。
ややドライですがコクのある酒質から、熟成期間のバランスが感じられるだけでなく。余韻にかけてオフィシャルの通常品では樽感に覆われてしまっている土や木材を思わせるピートフレーバーがじわりと広がり、全体を引き締めていく古典的なスペイサイドのスタイルが良いですね。

近年のボトラーズリリースは、需要の高まりからか、バーボンバレルで短期間に華やかさを付与して強引に仕上げたり、そこに加水をして一見すると飲みやすいものの中間以降ぼやけたような味わいになっているリリースが少なくありません。
今回のリリースはその点、熟成期間を経てしっかりと備わった香味が堪能できる、王道的なスタイルです。
リリース直後の口開けから何度か飲んでいて最近から好みの味わいだったのですが、時間経過で硬さが和らいでさらに良くなって来たなという印象。

ちなみにこのボトルはリリースからあまり話題にならなかった気がします。タムデューというネームバリューか、色が薄いからか、あるいは少し高めの価格も要因としてあったのか。
ただ、それこそこれがロングモーンだったら。。。そんなリリースだと感じるわけです。
ひとつのスペイサイドモルトとして、フラットに楽しみたい1本です。

イチローズモルト 秩父 6年 2011-2017 ウイスキートーク福岡2017 59.5%

カテゴリ:
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ICHIRO'S MALT
CHICHIBU
Whisky Talk Fukuoka 2017
Distilled 2011
Bottled 2017
Cask(1st) Bourbon Barrel
Cask(2nd) Bear Barrel
59.5% 700ml

グラス:木村硝子テイスティンググラス
場所:個人宅
時期:開封後1週間以内
暫定評価:★★★★★★(6)

香り:注ぎたてはバタークッキーのような甘いアロマが一瞬あるが、すぐにシトラスやレモンピール、あるいはグレープフルーツなどの柑橘類や、微かにハーブを思わせる爽やかなアロマ。ほろ苦いビール、乾いた麦芽香も開いてくる。

味:とろりとした口当たり、最初から柑橘やホップのIPA系の柑橘の香気やほろ苦い味わいが主体。そこにモルティーな香ばしさ、ピリピリとしたハイプルーフらしい刺激。ビールを思わせる香りが鼻に抜ける。
余韻はビターでグレープフルーツ、ホップの苦味が長く残る。微かにオークの華やかさも。

香味はビール感強く主体的。バーボンとビア樽、使われた樽同士が自然な感じに交じり合っている。若さゆえ荒い部分はあるが、嫌味な要素は少ない。
加水すると樽由来の個性がボケる印象。度数ほどの強さは感じないのでチェイサー片手にストレートで。

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今年の6月に開催された、ウイスキートーク福岡2017の記念ボトル。月と失われゆく動物#7 ツキノワグマ。
このシリーズは、環境省が定める「レッドリスト」に掲載されている、九州地方において絶滅の恐れがある動物をラベルにしたもので、リリースと共に欠けていく背景の月も特徴の一つ。
イベント関係者であるクラブバッカスの皆様により原酒の選定が行われた後、イベント当日購入希望が受け付けられ、10月に抽選、当選者への配送が行われたばかり。リリースされたてホヤホヤの1本です。
(博多のBAR Kitchen にて。月と失われゆく動物シリーズ#2〜6。徐々に月が欠けてきており、今作ツキノワグマの背景は"新月"。全てイチローズモルトの所有するカスクからリリースされている。)

今回使われたビア樽は志賀高原ビールのIPA樽。味わいはビール感6〜7:モルト感3〜4という程度で、柑橘系の爽やかさと苦味を連想させるIPA感が、過剰にならない範囲でしっかりと備わっており、ウイスキーらしいモルティーな味わいと共にバランスは良好です。
個人的な好みの話ですが、秩父のモルトのいくつかに感じられる余韻の苦手な要素が綺麗にマスクされているのもポイント。上述のバランスと合わせて、今までリリースされてきたIPA樽3作の中で、一番良い出来なのではないかとも感じています。
(ちなみに、先日リリースされたIPAカスクフィニッシュ2017の樽感とモルト感は5:5くらい。)

このウイスキーが持つIPA樽由来の爽やかさは、真夏よりもちょうど今の時期のような過ごしやすくなってきた気候の中で、昼間から飲むにはピッタリです。
IPA樽についてはその独特な香味ゆえに好みがはっきり分かれたり、まだまだイロモノ的な見方があるのも事実ですが、だからこそクラフトディスティラリーのように尖ったリリースが求められるメーカーがチャレンジする価値のあるジャンルの一つと感じます。

秩父にあっては今はまだベースとなる原酒の荒さ、若さがありますが、これが10年くらいの熟成を経た後でフィニッシュされたウイスキーの味わいはどうなるか。
創業初期の数年間と比較して味わいに厚みがで始めた、2012年以降の原酒が育っていく今後に期待したいところです。

イチローズモルト 秩父 IPAカスクフィニッシュ 2017 57.5%

カテゴリ:
ICHIRO'S MALT
CHICHIBU
IPA CASK FINISH 2017
Bottle #2298/6700
700ml 57.5%

グラス:リーデルヴィノテクスピリッツ
量:ハーフショット
場所:BAR飲み@ナデューラ
時期:開封後1ヶ月程度
暫定評価:★★★★★(5-6)

香り:クリアで爽やかな香り立ち。ホップ、レモンピール、パイナップル、柑橘と独特のエール感を伴うアロマ、焦げたウッディネスにツンとした酸味のある麦芽香。

味:粘性のある口当たり。ホップ系のグレープフルーツやオレンジの香気、薄めた蜂蜜。ボディはクリアなモルト感。
余韻はスパイシーでドライ、焼酎っぽい癖やえぐみと、バチバチとした刺激を伴う。

爽やかでフレッシュなIPA樽由来の香味と、クリアでツンとした秩父らしい酒質。樽感と酒質は比較的バランスのとれた構成。加水するとIPA感が和らぎ。。。しかし若い原酒らしくえぐみ、焼酎のようなフレーバーも強くなってしまう。

様々な樽での熟成やフィニッシュで、クラフトならではのチャレンジングなリリースを手がけているイチローズモルト。今回のテイスティングアイテムもまた、あまり例のないIPAカスク、即ちエールビールのIPAの熟成に使った樽での追熟を行なった意欲作です。

イチローズモルトでは志賀高原と箕面に秩父モルト熟成後の樽を貸し出しており、両醸造所でエールビール(IPA)の熟成に使われたものが今回の原酒のフィニッシュに使われています。ビールの方まで追えてなかったのでスルーしてましたが、結構いろんなリリースが出ているんですね。おおよそですが志賀高原では半年以上、箕面では12ヶ月ほど熟成に使ったものを秩父に返しているようです。
ウイスキーとビール熟成を交互に繰り返す、他のジャンルには見られない樽のループです。
(補足:近年ではウイスキー樽熟成のワインやグラッパがあるので、同じようなループで作られたリリースが今後は出てくるかもしれません。)

秩父でのIPAカスクフィニッシュは、昨年成田空港の免税店向けとしてリリースされたのを皮切りに、今年に入ってe-powerから6年モノのリリースがあり、これで3作目でしょうか。
これまではシングルカスクでしたが、今回はシングルモルト。10樽以上のバッティングということもあり、これまでの2作の突き抜けるようなIPA感ではなく、バランス寄りでコクと丸みを帯びたバッティングらしいフレーバーになっています。
秩父系のニュアンスも残っている、バランスのとれたタイプですね。

エールとしてのIPAは完全に好みが分かれる味わいであるため、カスクフィニッシュも同様。自分はこてこてIPA大好きなので免税向けの方がヒットですが、人によっては異なりそうです。
聞いた話では、今回のカスク選定からブレンドは肥土伊知郎氏自身で行なったとのこと。免税向けについては「あれは自分の選定した樽じゃない」と、納得いくのは今回のリリースということでしょうか。
ウイスキートーク福岡のボトルもIPAフィニッシュらしいので、次のリリースも楽しみです。

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