バランタイン 17年 1960年代流通 43% 赤白紋章

カテゴリ:
BALLANTINE'S
Liqueur blended scotch whisky
17 years old 
1960's
760ml 43%

グラス:グレンケアン
場所:個人所有スペース
時期:不明
暫定評価:★★★★★★(6ー7)

香り:存在感のあるスモーキーさと燻した麦芽や土っぽいピートフレーバー。古びた家具を思わせる古酒感、色の濃い蜂蜜。奥には干し藁、バニラウェハース、モルティーだが軽い穀物感も混じる。

味:モルティーでコクがあってピーティー。中間にはべっこう飴やほのかにサトウキビを思わせる甘み、カラメル的なニュアンス、アーモンドナッツとピーティーなほろ苦さ。
余韻は少し埃っぽさを感じるが、スモーキーで染み込むように長く続く。

しっかりとピーティーで、作られた時代を感じるオールドスコッチ。このボトルはこのボトルで美味しいのだけど何かが物足りない。単に開ききってないというより、例えばもう少しシェリー系のニュアンスが強ければ・・・。


1937年に誕生したバランタイン社を代表する銘柄であり、日本ではThe Scotchの通り名を持つ17年。昨年の2017年は誕生80年の節目を迎えたことを記念し、当時のラベルデザインを模したバランタイントリビュートが発売されていたことから、この「赤白紋章ラベル」を新旧どちらかでも知っている方は多いのではないかと思います。

今回テイスティングしたボトルは、その1960年代流通。この時期のボトルは、Ballantine'sの下に書かれたIn use for over表記でおおよそ流通時期の判別がつくことで知られていますが、今回のロットはコルクキャップではなくスクリューキャップなので、60年代でも後期のモデル。
すなわち、伝統の赤白紋章ラベル時代の17年としては最後の流通時期に当たります。

バランタインの赤白紋章時代は味が良く、流通時期もわかりやすいことからオークションでも高い人気がある銘柄です。
特に30年はこれぞブレンデッドスコッチと言える、熟成したモルトとピートフレーバーのハーモニーが絶品ですし、逆にファイネストであっても若いなりに良さがあり。そしてその中間である17年もまたバランスが良く、しっかりとスモーキーで素晴らしいブレンデッド。。。であるわけですが、今回テイスティングしたボトルは特段状態が悪いわけではないものの、美味しいのだけれど樽由来の厚みが足りないのか、以前飲んだボトルに比べて少し物足りない印象も受けました。
当時は結構ロット差も大きかったと聞きます。リスキーな話ですが、これもオールドボトルと言えるのかもしれません。


さて、バランタイン17年といえば有名なエピソードが「魔法の七柱」です。
バランタイン17年を作るにあたって、レシピに用いられたという7種類の主要モルト原酒の総称ですが、これはバランタイン社を傘下とする企業の推移等によって時代毎に変わっており、常に当時と同じ銘柄が維持されてきたわけではありません。ただあまりにも有名すぎて一人歩きしている感があり、今尚当該レシピで紹介されていることも・・・。

一方、あまり知られていない話がそもそもこの「魔法の7柱」は、バランタイン17年が誕生した1937年の時点で崩壊していた可能性があるということ。
7柱である「アードベッグ」「プルトニー」「グレンカダム」「バルブレア」「グレンバーギー」「スキャパ」「ミルトンダフ」各蒸留所の操業期間を見てみると、例えばプルトニーは1930年から1951年まで閉鎖されていたという記録が残っています。
また、グレンバーギーは1925年にオーナー企業が清算手続きに入っていただけでなく、少なくとも1927年から1935年の間閉鎖されていたため、1937年にブレンドが完成した当時は原酒を使えても、すぐにこれらの原酒が調達できなくなる恐れがありました。

こうした背景を踏まえ、さらにオーナー企業等の関係を見ていくと、魔法の7柱が同一企業の傘下で安定するのは1960年代のハイラムウォーカー社時代。今回テイスティングしている17年がリリースされた頃のロットが該当します。
勿論、稼働時に作られたストックから20年、30年熟成の原酒がブレンドされていればレシピは維持できますが、そこまでしていたかは疑問。むしろ、7柱の話が積極的にPRに用いられて定着したのは、実はこの時代からだったのではないかとも考えられるのです。

グレンキンチー 24年 1991-2016 スペシャルリリース 57.2%

カテゴリ:
GLENKINCHIE
Special Release
Aged 24 years
Distilled 1991
Bottled 2016
Cask type Refill European Oak Butts
700ml 57.2%

グラス:サントリーテイスティンググラス
場所:BAR飲み@Y’s Land IAN
時期:開封後1年程度
暫定評価:★★★★★★(6)

香り:青みがかったウッディさ、ドライな麦芽香、ハイプルーフらしくアタックは強く鼻腔を刺激する。奥から蜂蜜を思わせる甘み、ほのかに林檎のようなニュアンスも。

味:ややぬめりのある口当たり。麦芽風味、洋梨、中間はクリアで雑味が少なく徐々にドライ。シロップのかかったホットケーキ、微かにレモンジャム。
ツンとした刺激が感じられ、ジンジャーエールのようなヒリヒリとした余韻へと繋がる。

ディアジオのリフィルオーク熟成らしい、ニュートラルでトーンの高い味わいのモルト。軽くスパイシーさを伴う酒質由来の香味を感じつつ、樽材そのものが溶けたような要素も伴う。アメリカンオークのようなフルーティーさは控えめなあたり、材質の違いを感じる。


昨年のリリース時に飲み損ねていたグレンキンチーのスペシャルリリース。
グレンキンチーの通常リリースは12年のみで、限定品のダブルマチュアードも同等程度の熟成と、近年はボトラーズリリースもほとんどない中、久々にリリースされることとなった20年オーバーは、いちウイスキードリンカーとして純粋に興味をそそられていました。

1990年前後において、蒸留所に特段大きな変革は無かったようなので、ロケーションや蒸留環境云々の話は省略。
熟成のバランスは充分。元々そこまで強い酒質ではないので、近年蒸留では25年前後がちょうど良いかもしれません。
軽い麦芽風味やスパイシーさをそのまま伸ばしたような香味に、ディアジオのスペシャルリリースらしいリフィルオーク由来の樽感がそれを邪魔しない。ファーストフィルシェリー樽のように、圧殺するような構成ではないため、丁寧な作りとも感じる「面白みはないが、個性は楽しめる」といったボトルだと思います。

グレンキンチーは現存する数少ないローランドモルトとして、もう少し日が当たってほしい蒸留所。
企業側の方針もあるので難しいでしょうが、ディアジオ傘下にはそうした蒸留所がいくつかあり、今年はグレンエルギン、来年はオーバン。。。普段はブレンデッド向けに位置付けられている蒸留所のハイエンドリリースの中で構成される酒質の個性が、こうしたボトルを飲む楽しみです。

グレンスコシア 30年 1969-1999 OMC 50%

カテゴリ:
IMG_6526
GLEN SCOTIA
Old Malt Cask
Aged 30 years
Distilled 1969
Bottled 1999
700ml 50%

グラス:国際規格テイスティンググラス
場所:BAR飲み
時期:開封直後
暫定評価:★★★★★★★(7)

香り:柔らかい香り立ち。淡い麦芽香、品の良いリフィル系のオールドシェリー香は、サルタナレーズン、シフォンケーキ、ほのかにカラメルソースのニュアンスを伴い穏やかに広がる。

味:スムーズな口当たり。素朴な麦芽風味からじわじわと杏や煮た林檎のフルーティーさ、軽くナッツやキャラメリゼ。
余韻は染み込むようにウッディでトロピカル。ほのかなピートフレーバー、グレープフルーツのワタを思わせるほろ苦さを伴い長く続く。 

古き良き時代を思わせるオールドテイストなモルトウイスキー。樽が過度に主張せず、そこにしっかりと存在感のある麦芽風味がバランス良く感じられる。突き抜けないがしみじみと美味い。


今となっては貴重なグレンスコシアの1960年代蒸留にして、1970年代後半の大規模改修工事前の素朴な味わいが楽しめる1本。近年蒸留所がロッホローモンド傘下となってからは、樽感も果実味も酸味や少し発酵したような癖のあるニュアンスが伴いますが、かつては素朴な麦芽風味に加えて灰っぽさや特徴的なほろ苦いピートフレーバーが感じられる、滋味系なモルトウイスキーでした。(この辺はブリタニア8年やグレンネヴィス12年のモルトを飲むと特徴がわかりやすいと思います。)

今回のボトルはその長期熟成品で、同様の麦感をベースとしつつ、熟成によるカドのとれた香味と60年代らしいトロピカルフレーバーも加わって、ハイプルーフでありながら何杯でも飲めてしまうような味わい。充分美味しいモルトですが、2000年前後のOMCはこの素晴らしいモルトが埋もれてしまうくらい60〜70年代蒸留の原酒をガンガンリリースしていたのですから、とんでもない時代でした。


さて、グレンスコシアは専門書などでキャンベルタウン衰退の歴史と共に語られることの多い蒸留所です。
同じ地域の代表的蒸留所であるスプリングバンクは、不況と悪評になんとか耐え抜きましたが、グレンスコシアは複数回の閉鎖と買収を経験していることが、その歴史にリンクしているように感じられるからかもしれません。

衰退の要因はいくつかありますが、中でも代表的なものがキャンベルタウンの各蒸留所が粗悪なウイスキーを量産してアメリカ市場に販売していたことで、結果同地域産のウイスキー全体に悪評としてダメージを与えたことが背景にあるわけですが。。。
なお、この歴史を近年のジャパニーズウイスキーに当てはめると、対岸の火事ではなく、同じ道をたどっているようにも思えてなりません。
願わくば、日本は同じ轍を踏むことが無ければ良いのですが。。。

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