アラン 21年 オフィシャルボトル 2018年リリース 46%

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The Arran Malt 
Aged 21 years 
Release in 2018 (1st lot) 
700ml 46%

グラス:グレンケアンテイスティング
時期:開封後2ヶ月程度
場所:Bar Eclipse
暫定評価:★★★★★★(6)

香り:ウッディでドライフルーツやフィナンシェなどの洋菓子、あるいは色の濃い蜂蜜も感じさせる甘味とビターな香り立ち。合わせて若干サルファリーなニュアンスも伴う。

味:ウッディでスパイシー、ねっとりとした舌当たり。香り同様の構成で樽感強く、樽由来の香味が重なりあったような木材感がある。余韻はオーキーなフルーティーさも若干混じるが、基本的にはシーズニングシェリーのウッディさと、微かにカカオ、サルファリーでビターなフィニッシュが長く続く。

シェリー樽圧殺というような構成ではないが、使われたシェリーとバーボン、2タイプ由来の樽材感が強いウッディな仕上がりという構成。そのため、酒質という以上に樽由来の香味が主体で、こてこてとしていて、なかでもシェリー系のニュアンスが強く残っている。
ストレートでは少々飲み疲れる部分もあるが、加水するとオーキーでアメリカンオーク由来の華やかさも混じるようになるので、開封後時間経過での変化が期待できそう。

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昨年12月にリリースされたアラン・オフィシャル通常ラインナップの最長熟成品。
これまでシングルカスクや何らかの限定品で20年、21年はリリースされてきていましたが、創業開始から23年たち、ようやく通常ラインナップとして21年熟成を安定してリリースできる目処が立ったということなのでしょう。

構成はシェリー樽とバーボン樽熟成の複数樽バッティング。テイスティングの通り結構シェリー樽の個性が強く出ていますね。
色合いからリフィルホグス、バーボンバレルも相応に使われているとは思いますが、これらの樽に求めるフルーティーさはストレートでは控えめで、むしろ一番効いているのがシェリー樽。それも創業初期のアラン蒸留所の樽に多いタイプです。

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(2016年にリリースされた、アラン蒸留所創業20周年記念の20年熟成。濃厚なシェリー感のあるボトルだったが、合わせてサルファリーさもあり、初期のアランの原酒らしいキャラクターだった。恐らくこの系統の原酒も使われているのだろう。)

アラン蒸留所は厳密に言えばアイランズモルトの区分に入りますが、島といいつつもその酒質はタリスカーやジュラのような個性的なものではなく、ハイランドモルトの王道を地でいくようなミディアムボディで素直かつ癖の少ないキャラクターです。
そのため、樽さえよければ化ける蒸留所であり、近年ではアメリカンオーク樽との組み合わせにおいて、フルーティーさのしっかり出たリリースが多くあります。
また、例えばスコットランドの北端に位置するオークニー諸島と比較すると、平均気温(主に最低気温)で約5度前後暖かく、その影響か20年経たず樽感の主張が強いリリースが見られるのも特徴といえます。

今回のリリースは21年分の樽感が感じられるリッチでややクドさの残った味わいである一方で、アランの2000年代のリリースなどでも見られた、蒸留所としての酒質の方向性や樽の調達で苦労していたことがうかがえる姿が思い出されるような懐かしい味わいでした。
アラン21年は、当面は年間9000本限定のスモールバッチでリリースされていくとのことで、使われる原酒の傾向もリリース毎に異なっていくものと思われます。
となると、代を重ねることでより洗練されて、近年のアランに近づくのかもしれません。

アラン10年なども、初期の頃はそこまで安定してはいなかったと記憶していますが、最近は優良オフィシャルとしての評価を確立しつつあります。
それこそ近年のシングルカスクリリースなどから原酒の傾向をピックアップし、将来の21年に個人的な好みを押し付けさせてもらえば・・・アメリカンオークホグスヘッドのトロピカルなフルーティーさを主体に、バーボンバレル由来の強烈な華やかさ、シェリー系のニュアンスで少しコクと厚みを加えて加水でまとめるようなリリースが出たらいいなあとリクエストして、この記事の結びとします。
アラン蒸留所と、21年の今後を楽しみにしています。

ディンプル 12年 ロイヤルデキャンタ 1980年代流通 43%

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DIMPLE 
ROYALE DECANTER 
12 Years old 
1980's (1984's) 
750ml 43% 

グラス:国際企画テイスティンググラス
時期:開封後数週間程度
場所:お酒の美術館 神田店
暫定評価:★★★★★★(5ー6)

香り:若干金属系の要素を伴うが、カラメルやみたらしを思わせる甘くリッチな香り立ち。奥には乾いた植物や穀物、オレンジママレードのようなアロマも混じる。

味:マイルドで厚みのある口当たり。キャラメリゼやカステラの茶色い部分、少し溜まり醤油のような古酒っぽさ。中間から後半にかけては軽やかな刺激と干し草を思わせるニュアンス。余韻はほろ苦く、スパイシーな刺激を伴い、張り付くように長く続く。

若干キャップ臭はあるが、味への影響は少なく。ヘイグらしいコクのある甘味とそこから繋がるスパイシーな刺激というキャラクターは感じることができる状態が良い個体なら★6固定。
記念ボトルで見映えはするが、キャップ地雷に注意が必要。


ブレンデッドウイスキー、ヘイグのデラックスブランドであるディンプルから、1984年に限定リリースされた1本。
オランダの大手錫加工メーカーとタイアップした商品で、メタリックで鎧を着ているかのような厳つい装飾が目印。その外観から特別感があり、流通量の多い80年代中頃のディンプルでありながら、通常の12年の2倍程度の流通価格となっています。

一方、中身はというと・・・コクと厚みのあるグレンロッシー、軽快で軽やかな刺激のあるグレンキンチー、そしてマイルドでスウィートなグレーンの個性が混じりあう豊かな味わいではあるのですが、当時のディンプル12年と比較するとどうかと言えば、多少マイルドというかコクのある甘味が強いものの、そこまで大きな違いはないように感じます。
ただしブレンデッドスコッチウイスキーが全体的ににライトな仕上がりになり始める1980年代中頃という時期にあって、この仕上がりは流石大手メーカーの上位グレード、という印象も同時に受ける仕上がりです。


さて、このボトルの装飾に採用されている錫という金属は、毒性がなく食器、グラスなど身の回りのものに多く使われてきました。特に酒器としては、入れた酒の味がまろやかになるという評価もあります。
今回のような外側の装飾が中身にまで効果を及ぼすことはありませんが、唯一内部に触れる場所、キャップの裏を原因とする”例の金属”の存在は、愛好家を悩ます要因のひとつ。
そう、このボトルもキャップの裏側は金属張なのです。

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(ティンキャップ裏側。"Tin cap"のTinは錫の英語名称。キャップの性能としては気密性が高いものの、問題はキャップ裏の金属シートにあった。この金属シートは同時期のショートスクリュー及び1970年代以降のスクリューキャップにも一部継続して採用され、現代の愛好家に猛威を振るう。画像右側のものは黒ずみが見られる。鉛のそれに近いようにも。。。)

この謎の金属シートについて、今回は少し考えてみます。
使用目的としては、キャップ部分とボトル部分の隙間を埋めるための、緩衝材兼密封材という位置付けで1950年代前後のティンキャップ時代から使われていましたが、1980年代後半頃に姿を消します。
最初は明らかに鉄っぽい味と香りや、その柔らかさに加え、ワイン業界でキャップシールに鉛が使われなくなった時代とリンクするため、キャップ裏の金属は鉛だと考えていたのですが・・・毒性があることが明らかな鉛を使うだろうか?という疑問もありました。

では、錫ならばどうか。通常は無味無臭な錫も、状況によっては金属系の味や香りを付与する場合があるようです。
あるいは鉛や錫などとの合金、ひょっとするとアルミなどの別の金属で作られているということも考えられます。これを確認したところで何が得られるかといえば、鉛が含まれるようなら、その毒性から著しく香味が変化しているボトルは手を出すべきではないものと区分できます。(あるいは、錫であっても中毒の例がないわけではないようです。)

オールドボトル市場が広がり、より一般的に販売されるようになった今。これまで確認してこなかったことも、どうにか調べていかなければならないのでは・・・と思うのです。
自分は専門家ではないので本やネットで調べた程度の知識しかありませんが、どなたか簡易に検査できる方法をご存じ出はありませんでしょうか。

山桜 ブレンデッドモルト ポートワイン&シェリーカスクフィニッシュ 46%

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YAMAZAKURA 
BLENDED MALT WHISKY 
PORT WINE CASK FINISH & SHERRY CASK FINISH 
Sasanokawa shuzo 
700ml 46% 

グラス:テイスティンググラス
時期:開封直後
場所:新宿ウイスキーサロン
評価:★★★★★(5ー6)

香り:ウッディでシーズニング系のドライプルーンやチョコレートクリームのような甘さを感じるシェリー感。次第にワイン樽由来のシロップと薬草香。少し人工的な要素を伴う特徴的なニュアンスも伴う。

味:口当たりは少々緩めではあるが、角のとれたウッディな樽由来の甘味、シーズニング系のシェリー感。口の奥にウイスキーが流れていくにしたがって、木苺や酸化した赤ワインのような酸味、微かにハーブや椎茸っぽさも伴う。
余韻はスパイシーな刺激と共に、ビターで微かに焦げたような苦味と若干のタンニンが感じられる。

少しポートワイン樽由来とおぼしき甘味と酸味が目立つが、シーズニングシェリー系の香味をベースに、穏やかなモルティーさのある味わいでバランスは悪くない。少量加水すると最初は個性がぼやけるが、時間を置くことで馴染んで一体感が出てくる。ロックで飲んでも悪くないかもしれない。

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こんなの出てたのか、というリリース。
元市民の自分としては、笹の川酒造と県南酒販の商品はなるべく取り上げたいところですが、最近の笹の川酒造は安積蒸留所のニューボーンだけでなく、買い付けた原酒を数年程度熟成庫で追加熟成させ、オリジナルブレンドのリリースも精力的に行っており、百貨店限定品とかもあったりするのでつい見落としがち・・・。
調べてみると、直近ではシェリーやワインなど、各種フィニッシュのリリースが行われていたところでした。

今回のリリースは、50本と非常に少数のリリースであることから、何らかのイベント向けかなにかで、こうした貯蔵原酒の一部を用いてブレンドされたものと考えられます。
香味から察するに、ベースになった原酒の系統はハイランドタイプ。使われている原酒の熟成期間は10~15年程度といったところでしょうか。
ポートワイン樽とシーズニングシェリー樽でそれぞれ原酒をフィニッシュしたそうですが、ポートよりもシェリーの方がフレーバーが馴染んでいるため、ベースに使われた原酒がそれぞれ異なるか、あるいはフィニッシュ期間がシェリー樽原酒のほうが長いのかもしれません。

シーズニングシェリー系の香味をベースに、ポートワイン由来の甘味や酸味がアクセントになっているような構成。加水で整えられた口当たりは穏やかで、突き抜けないものの、全体的にバランスは悪くありません。
それこそ初期の頃にリリースされていた山桜15年シェリーカスクなどと比べると、ブレンドのノウハウが蓄積されてきてるなぁ、とも感じるリリースでした。

本ボトルはイベント会場で購入したものとのこと。ブースにあったのか、ボールペンを使って書かれた社長のサインが、本人を知ってる人には逆にチャーミングです(笑)。



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