ブラック&ホワイト セレクト 1980年代後半流通 特級表記 43%

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BLACK & WHITE 
SELECT 
Scotch Whisky 
1987-1989's 
750ml 43% 

グラス:グレンケアンテイスティング
時期:開封後1ヶ月程度
場所:BAR エクリプス
評価:★★★★★(5ー6)

香り:軽い酸味とともに、若干こもったような香り立ち。グレーン系の穀物感、焦がしたポン菓子、キャラメリゼの甘みとほろ苦さ。微かに蜂蜜のような甘味も。

味:マイルドな口当たり。香りで感じた以上の麦芽風味とカラメルソースの甘くほろ苦いシェリー感が主体。徐々にピリピリとした刺激を感じつつ、干し草のような乾いた植物感から、麦芽風味のスウィートなフィニッシュへ。

シェリー樽由来の要素を備えたハイランドタイプの原酒をベースとしたような、樽と麦由来のコクのある甘味が軸になっている。そこに若い原酒の刺激とグレーン感。少量加水するとそれらが馴染み、マイルドな甘みがじんわりと広がる。


1980年代後半の特級時代末期、バブルに湧く日本市場向けにリリースされた、ブラック&ホワイトの限定品。この時代はヘイグ、ホワイトホースなどで日本向けのブレンデッドウイスキーがリリースされていましたが、このボトルもその一つ。
先日レビューさせていただいた、以下のブラック&ホワイト・セレクト リザーブはこの後継品にあたるものと思われます。

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(ブラック&ホワイト セレクトリザーブ1990年代流通。カラメルソース系の甘味は控えめだが、麦っぽい要素はこのボトルのほうが強い印象。

ブラック&ホワイトは、1970年年代ごろまではメーカーの代表作という感じでしたが、1980年代に入り一部の12年表記化やグループ全体としてブランド戦略の見直しが進むと、徐々にスタンダードクラスでも安価な価格帯へグレードダウンが進んでいました。
1980年代後半などはまさにその最中。そのため当時のスタンダード品と比較すると、このB&Wセレクトはワンランク上のブレンドという印象です。

ちなみに1980年代後半といえば、DCLがギネス社と合併する形で誕生したUD社がシングルモルトウイスキーの販売戦略としてクラシックモルトシリーズを発表。傘下であるジェームス・ブキャナン社からは、名品・ダルウィニー15年がリリースされていましたが、今回のリリースはそれと同時期であり、ボトル形状も同じものが使用されています。

その香味との関連性はというと、オールドブレンデッドらしいカラメルソースのような甘いシェリー風味の中に、ハイランドタイプの麦芽風味とグレーンの穀物感。この麦芽風味は当時のダルウィニーに近い要素ですが、熟成感は15年ほどは感じられず、なかでもグレーンが8年とか若い原酒なのではと。
そんなわけでマイルドさの中に若干の荒さはありますが、総じて飲み安い仕上がりであり、シェリー好きの日本人が好みそうなブレンドだなとも思うのです。

イチローズモルト 秩父 10年 2008-2018 BAR チェ・アリー 60.8%

カテゴリ:
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ICHIRO'S MALT 
CHICHIBU 
Malt Dream Cask 
For BAR Te・Airigh 
Aged 10 years 
Distilled 2008 
Bottled 2018 
Cask type Bourbon Barrel #180 
700ml 60.8% 

グラス:グレンケアンテイスティング
時期:開封後1月程度
場所:BAR エクリプス
暫定評価:★★★★★★(6)

香り:焼き栗やナッツのような香ばしさに、バニラを伴う甘さ、ハッカやミントを思わせるハーブ香を伴うウッディネスが濃縮したような香り立ち。微かに溶剤、オレンジピールのようなニュアンスも感じる。

味:メローでほろ苦く、少しざらつくような口当たり。木をなめているような印象もうける。メープルシロップとアプリコットやオレンジ、焼き栗、徐々にえぐみのあるウッディさを感じさせる複雑さ。
余韻はビターで焦げたようなウッディネス、ハッカや微かにニッキを思わせるスパイシーさとハイトーンな刺激。蓄積するように持続する。

第一印象はまさに樽。アタックは度数ほどには感じないが、その香味は樽そのものが溶け出たような要素と酒質由来の要素で、ごちゃごちゃした印象を受ける。さながら子供の玩具箱。加水すると余韻にバーボン樽由来のオーキーなフルーティーさを感じるようになるが、序盤はやや水っぽくあり、加減が難しい。

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2018年は秩父蒸留所の創業10年目。livedoor blogでも情報を発信されているBAR Te・Airigh (チェ・アリー)さん所有のMDCから、10年熟成シングルカスクが初ボトリングされました。
ラベルはオーナーの娘さんが書かれたという同店のイラストで、ロマノレヴィみたいな雰囲気があります。

自分のように10年近く、あるいはそれ以上ウイスキー沼に浸かっている愛好家にとって、秩父蒸留所はノンエイジ、ニューボーン、3年熟成のリリース・・・現在進行形で成長に触れてきた方も少なくないと思います。
こうして10年という節目の原酒を飲むと、人によっては我が子の成長。自分のようにそこまで秩父べったりでなかった人は、たまに会う近所の子供が、いつのまにかしっかり大きくなってたみたいな、そんな心境であったりもするわけです。

さて、秩父蒸留所の創業初期の原酒は線が細く、熟成環境と合わせて10年もたせるのは厳しいのではないかという評価は、愛好家からも度々聞かれるものでした。(自分自身も、過去記事でピークが早く、もたせて10年ではないかと書いていました。)
ただしそれは当時の予想であって、実際どう育つかは飲んでみなければわかりません。
今回実物をテイスティングしてみると、酒質という器に樽感という液体が注がれ続け、その許容量を迎えて器から溢れているものの、徐々に樽材そのものが溶け出て濃度が上がっているような印象を受けます。

そのため樽感はバーボンバレルのそれですが、通年を通して冷涼な環境下で熟成されているスコッチモルトの同じ樽構成でよく感じられる、黄色いフルーティーさよりも木材そのものやナッツのような要素が強く感じられ、加水すると果実味が顔を出してくる。
春夏秋冬変わりゆく気候を通じ、その時々で得られた樽由来の様々な要素が濃縮され、それぞれ主張するような奔放さが、このモルトの特徴だと思います。
加水やバッティングでまとまるかというと難しいと感じますが、今回のボトルはラベルの印象と中身とがマッチしていて、面白いリリースであるとも感じますね。

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(2010年に秩父蒸留所で試飲した2年熟成、2008年10月蒸留の原酒。当時の自分のコメントと今回のリリースとを比較すると、成長の過程を垣間見るような共通項がいくつかあり、実に興味深い。)

秩父蒸留所は、近年の日本における本格的なクラフト蒸留所の先駆者的な存在として、様々な活動を行うとともに。シングルカスクウイスキーのリリースとしても、前例のない状況から活動を続けてきました。
稼働当時、あるいはその準備期間となる独立初期はウイスキーブームは火種すらなく、ネガティブな意見もあったでしょうし、ウイスキーも今のようには売れなかった。多くのことでトライ&エラーを重ねながら歩み続けた10年間だったと思います。

ですが、ブランドとして世界的な評価の確立に至ったことをはじめ、今日まさに開催されている秩父ウイスキー祭りにしても、地域を代表する一大イベントに成長。昨今のウイスキーブームの礎の一つを築いているのがイチローズモルトであることに、異論の余地はありません。
蒸留所オーナーの肥土伊知郎氏からは、秩父のモルトで30年熟成を目指すと言う発言があったと記憶していますが、この原酒で流石にそれは。。。と思わせつつも、きっと今後も多くの挑戦を続けながら、20年、30年とリリースに繋げてしまう。そう期待もしてしまうのです。

トバモリー 11年 2006-2017 ウイスキーフープ 64.3%

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TOBERMORY 
THE WIHSKY HOOP 
SIGNATORY VINTAGE 
Aged 11 years 
Distilled 2006 
Bottled 2017 
Cask type 1st fill Sherry Butt #900152 
700ml 64.3%

グラス:テイスティンググラス
場所:BAR LIVET
時期:開封後3ヵ月程度
評価:★★★★★★(6)

香り:ドライでハイトーンな香り立ち。白木を思わせる乾いたウッディさが鼻孔を刺激する一方、ドライプルーンなどのダークフルーツとカラメルソース、微かに香木を思わせるニュアンスも伴う。

味:粘性のある口当たりから、クリアで口内を刺激する強いアタック。同時に感じられるシェリー感は甘酸っぱく、ドライプルーンや無花果、チョコレート、シロップのような甘さもあるが、それは長続きせずビターなウッディネスとハイトーンでヒリつくような刺激が余韻にかけて支配する。

若くてプレーンで、度数が高い分パワフルな原酒を、濃いめのキャッチーなシェリー感でマスクしたようなボトル。故に仕上がりと口当たりは荒く、酒質と樽感が分離したような印象もある。少量加水すると多少刺激が穏やかになるが、加水しすぎるとシェリー感が薄くなり、バランスが悪くなる。


昨年ウイスキーフープがリリースした、濃厚シェリーカスクのボトラーズリリースを、まだ手の届く範囲の価格で楽しんでもらうことを狙ったような1本
なにせトバモリーで11年熟成という、決してメジャーでも、適齢期と言えるような熟成期間でもないスペックなのです。しかしその強みと言えるのがシェリー感であり、市場のなかで評価されている要素も備えているのがポイントといえます

最近のリリースで言えば、シガーモルト系統のスパニッシュオークのニュアンスですね
ただしそれは全体的ではなく、味の序盤から中盤くらいまでで、その後はシェリー感を突き破ってくるプレーンでクリア、荒さの中に酸味を残したような、酒質部分の要素が強く主張してくるように感じられます。


以上のように荒削りで、完成度を求めるならこのボトルは少々厳しいものがあります。
しかしの市場に1960年代蒸留のシェリーカスクを10年前と同じ価格で持ってくることなど不可能であるように、同じ年にリリースされたウイスキーフープのボトルで言えば、現時点での理想のシェリー感はハイランドパーク27年あたりと思われますが、それを目指すと価格は青天井。限られた状況のなかで、どこで妥協するか、何を重視するかという選択をした結果、このチョイスとなったのだと推察します。

同時にリリースされたディーンストン11年も、シェリー樽の系統こそ違えど同じような位置付けのボトル。
どちらも総合的に素晴らしいボトルとは言い難いですが、ボトラーズは一樽一樽の個性を楽しむという位置付けと、今の市場の中でという観点で言えば、今回のリリースは選び手が市場が求める要素を絞って選んだ、テイスターとしての経験値が光る1本ではないかと思います。



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