ティーチャーズ セレクト 40% サントリーブレンダーが手掛けたスコッチ

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TEACHER'S SELECT 
BLENDED SCOTCH WHISKY 
PEATED FLAVOUR WITH RICH SWEETNESS
700ml 40%

香味とも若く刺々した酸味と、根菜っぽさのあるピートフレーバーが主体だが、味は多少グレーンが効いてマイルドな甘味もある。主体は若いアードモアなのだろう。モルティーでスモーキーな個性が思った以上に備わっている。

使われている原酒は5年前後といったところだろう。樽香は淡くプレーン。ストレートでは粗さが目立つものの、飲めないほどではない。むしろ1000円ちょっとのスコッチとしては、しっかりとモルト由来のピーティーな個性が備わっている点が評価出来る。
このウイスキーが本領を発揮するのはハイボール。ピートを含めた原酒の香味が全体的に軽くなり、ライト寄りに振れるものの、逆に粗さも目立たずグイグイ飲めて食中酒として使うには丁度良い。

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ティーチャーズの日本向け限定品。ティーチャーズはビーム社傘下のブレンデッド銘柄であり、2014年のサントリーによる買収でさらに結び付きがさらに強くなっていました。
セレクトは元々コンビニ限定で2018年から販売されていましたが、2019年4月から酒販店向けにも展開されることとなった銘柄です。

流石にコンビニの酒棚にあればリリースそのものは認識していましたが、「日本のブレンダーが手掛けた」という話は知らず。だったら飲んでみようかと。
最も、手掛けたといってもどの程度関わっているのか。。。確認したところ、マスターブレンダーを含むサントリーのブレンダー陣が本当にこの製品をブレンドしているのだそうです。
これって凄いことだと思うんですよね。日本向け製品とはいえ、ティーチャーズのような100年以上の歴史があり、スコッチウイスキーを代表するようなメージャー銘柄を、日本のブレンダーが手掛けるというのは初の事例ではないでしょうか。(確認したところサントリーとしては初とのこと。他社も無いでしょうから、公式には日本初ということに。)

良い原酒があっても、ブレンド次第ではどうにもなりません。まして制限の多い価格帯ではなおのこと。
近年、日本のウイスキーはスコットランドを越える高い評価を受けており、ブレンデッドウイスキーとブレンド技術もまた同様に評価されていたところ。自国向けボトルといっても、技術とそれが認められていなければ商売としては成り立たない仕事ですから、またひとつ日本のウイスキーメーカーが歴史を作ったように感じたのです。

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前置きが長くなりました。元々、現行品のティーチャーズ・ハイランドクリームは1000円程度の低価格ウイスキーですが、価格を考えると実に良く出来ている銘柄と言えます。
キーモルトであるアードモア由来のピーティーさが良い仕事をしており、スモーキーフレーバーをしっかりと感じられるのが最大の特徴。旧ラベルの方がマイルドとか、コクがあったとか、そういう意見もあるでしょうけれど、現行品は現行品で良くできています。

ハイランドクリームのモルト比率は45%で、40種類の異なる原酒が使われているそうですが、そのうちアードモアの若い原酒の比率は結構高いように思います。
また今回のセレクトも同じ系統の作りですが、ハイランドクリームのほうがその他ハイランド系の原酒が仕事をして若干多彩というか、セレクトのほうが奥行きが軽いというか、それはハイボールにするとより顕著に感じられます。
メーカーコメントの「ほのかなスモーキーさ、優しい甘み」は、ハイボールにしたときのコメントなんだろうなと。
飲みごたえはありませんが、広く受け入れられる要素は感じられる。使い勝手の良い1本です。飲み屋のハイボールとか、これで良いんだけどなー。


以下雑談。
最近、イベントとかでお会いする方々に「普段何飲まれてるんですか?」と聞かれることが何回かあったのですが、現行からオールドまで幅広く飲んでます。
それこそ、今回のような現行品の普及価格帯ブレンデッドもその一つ。以前は、失礼ながら「現行品なんて」と思っていた時代もあったのですが。。。
ハイボールだとウイスキーもグラスも冷やして作ると、香りのスモーキーさや味がぼやけず、それでいてスッキリとした仕上がりになるので、食中酒やお風呂上がりなど、案外良いなと使っているのです。

イチローズモルト バーテンダーズチョイス 神田祭2019 シングルカスクブレンデッド 58.6%

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ICHIRO'S MALT 
BARTENDER's CHOICE 2019 
Single Cask Blended Whisky 
Selected by 神田 Bar Society  
Cask No, 5294 
700ml 58.6% 

グラス:テイスティンググラス
時期:開封直後
場所:新宿ウイスキーサロン
暫定評価:★★★★★★(6)

香り:前面にライ系や新樽穀物の要素。スパイシーな香り立ちから、ウッディで干し藁やオーキーな華やかな酸のあるリンゴ、オレンジリキュールなどのアロマも感じられる。

味:スパイシーでしっかりとボリュームのある口当たり。柑橘のニュアンスからバニラと洋梨、アメリカン系の穀物やライを思わせる酸味もある。
余韻はドライで微かにスモーキー。ハーブの爽やかさとひりつくようで長く続くフィニッシュ。

これまで飲んだワールドブレンデッドシリーズでは一番好み。アメリカン系のフレーバーとモルト、それぞれの個性がマリッジに使われた樽感の中で融合したような美味しさが感じられる。少量加水しても崩れず、さらにバランスがよく柑橘のニュアンスがもう一歩前に出てくる。某社のワールドブレンドもこれくらいだったら。。。

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隔年で5月に開催される神田祭りを記念し、神田にBARを構えるバーマンや飲食店らが共同でリリースに関わる記念ボトル第4段。
最近イチローズモルトでリリースが増えている、ワールドブレンデッド区分のシングルカスクブレンデッドウイスキーです。

イチローズモルトのワールドブレンデッドのシングルカスクは、ハイプルーフな原酒を混ぜ合わせ、カスクストレングスでボトリングしているためか、マリッジの樽由来のフレーバーを突き抜けるような、様々な個性がぶつかり合う印象があります。
これが良い方向に振れれば良いのですが・・・なかなかそうなるとは限りません。若さが悪目立ちしたり、喧嘩してるような難しいボトルもあります。

しかし今回のリリースは、後熟に使われたとおぼしきバーボン樽由来のスパイシーさや華やかさに加え、いわゆるバーボンやカナディアンなどアメリカン系のライっぽさに通じる酸味と穀物由来の香味が、5~10年熟成程度のモルトのフレーバーと混じりあって融合している。
またバランスを取っている15年程度のミドルエイジの原酒も繋ぎの仕事をしており、第一印象ではバーボン系の個性の主張に驚くと思いますが、ジャパニーズを始めスコッチタイプの原酒も負けてない。高度数故のバランスを楽しむことが出来ました。
これは是非ストレートか少量加水で楽しんでほしいですね。


裏ラベルに書かれた「新たな時代を彩るボトル」の言葉。平成から令和へと時代が代わり、少なくとも今年に入ってウイスキー業界で何が変わったかと言えば、輸入原酒を使ったワールドブレンデッドの存在があります。
これまでは暗黙のうちに作られていたものが公になってきただけでなく、ジャンルの1つとして、今後も多くのメーカーからリリースされるだろうとも考えられます。

例えば、輸入原酒といってもスコッチタイプのみで仕上げても区分はワールドブレンデッドですが、それでは現地スコットランドのものと変わらないし、やはりワールドを名乗るからには各地のウイスキーの個性を融合することにも可能性を見いだしたい。
今回のリリースは、そんな自分が考えるワールドブレンデッド像にあって、ウイスキーの新たな時代に示すお手本のような構成だと感じたのです。


このボトルは新宿ウイスキーサロンで飲みましたが、そもそもは神田祭を記念したリリース。神田にあるBARを中心に取り扱われており、自分が知ってるウイスキーが強いところだとGROOVY、サンディマック、Eclipseなどで飲むことができます。(特にGROOVYさんは本企画の発起人でもあります。)
この記念ボトルは2011年の大震災以降自粛されていた神田祭再開の2013年から始まり、2015年以降は蒸留所の成長と共に歩んできた経緯もあります。
その想いやボトルに関するコアな情報を聞きたい方は、是非テイスティングがてら神田を訪れて見ては如何でしょうか。ディープな街で面白いですよ!

アマハガン ワールドモルト Edition No,1 長濱蒸留所 47%

カテゴリ:
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AMAHAGAN 
World Malt Whisky 
Edition No,1 
Release in 2018 
Nagahama Distillery 
700ml 47%

グラス:テイスティンググラス
時期:不明
場所:BAR 新宿ウイスキーサロン
評価:★★★★★★(5ー6)(!)

香り:爽やかな酸を感じる香り立ち、レモングラス、粉っぽさのあるオーク香はホットケーキ生地のような甘さを感じる。スワリングすると若いモルティーさと乾いた麦芽や木香、少し焦げ感を伴うスモーキーさも開く。

味:ボリュームがあって強い香味の広がり。はちみつレモンとアルコールのジンジンとした刺激。徐々にオーキーで加熱した林檎のようなフルーティーさ。余韻にかけて奥から焦げたようなピートフレーバーが顔をだし、ほろ苦くスモーキーなフィニッシュが長く続く。

若さはあるが嫌みのない若さというべきだろうか。短熟ピーテッドモルト長濱原酒とミドルエイジ程度のハイランドモルトの極端な組み合わせだが、両者の個性が複数の表情を見せ、それが混じり合う面白さがある。


昨年、長濱蒸留所が自社蒸留原酒と輸入原酒をブレンドしてリリースした、ワールドブレンデッドモルトウイスキー。ネーミングの経緯は不明ですが、アマハガンは長濱をローマ字表記にして逆さに読んだものです。

長濱蒸留所の創業は2016年。ブランデー蒸留に使われるアランビックタイプの蒸留器で蒸留を行っており、設備は地ビールを作るビール工場のなかに併設してあるユニークな作りも特徴。
原酒はピーテッドモルトを軸にライトピートからヘビーピートまで広く原酒を仕込み、今年はちょうど3年目。まさにこれからシングルモルトのリリースを行っていこうというクラフトメーカーです。

今回のリリースは、その長濱蒸留所の1~2年程度熟成の若い原酒を用いているため、まさにNo Ageといえる仕様であり、しかもウイスキーメーカーとしてブレンデッドのファーストリリースです。発売を聞いた時は「大丈夫か、これ」と、警戒にも近い感情がありました。
そんな第一印象もあって飲むのも後回しにしていたものの、先日ようやくテイスティング。結論から言えば、いい意味で驚かされましたね。


まず香味ともトップに若さはあるのですが、未熟香の嫌みな感じはなく、レモンなどの酸味のある柑橘を思わせる爽やかなキャラクター。
そこに10~15年程度熟成のハイランドタイプのモルト原酒。柔らかいタイプのブレンドモルトで、ベースの樽はバーボン系統でしょう。この手の輸入原酒にしては樽感が結構しっかり出ているので、長濱の原酒以外に調達した原酒を長濱の原酒保管場所で再びバーボン樽に詰め、追加熟成したのかもしれません。適度に熟成された麦芽風味に加え、オーキーなフルーティーさも感じられます。

余韻はそのまま終わるのかなと思いきや、ここで長濱モルトのピーティーな個性が樽感に置き換わるように出てきて存在感を増していく。長濱のスタイルはピーテッドモルト、このまま終わったら長濱じゃないですね。
加水の効き具合も、個性を潰さない程度にちょうどいい仕上がり。これを狙って47%仕様だったとしたら、ブレンドファーストリリースとしては充分すぎる仕上がりとも思います。

輸入原酒の力を借りてはいますが、蒸留所のキャラクターを感じやすくするために使っているような構成で、これなら長濱のクラフトウイスキーと呼んで差し支えないもの。
思っていた以上に完成度が高く、そして思っていた以上に面白いリリースでした。


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なお、AMAHAGANのセカンドリリースが、5月21日発売で予定されているそうです。
ワイン樽熟成の原酒を一部使っており、この個性をどう活かすかが非常に苦労した点だったとのこと。今回のテイスティングで面白いウイスキーという印象を持っていますので、次回は比較的早い段階でテイスティングしたいと思います(笑)。

※テイスティングの写真を撮影したと思っていたのですが、スマホのライブラリに見当たらず。。。後日撮影して差し替えておきますが、取り急ぎリカマンさんからお借りして掲載します。

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