トバモリー 20年 1997-2018 モルトマン 49.8% 日本市場向けボトル

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TOBERMORY 
The maltman 
Aged 20 years
Distilled 1997 
Bottled 2018
Cask type refill sherry #800 
Specially selected and bottled for Japan 
700ml 49.8% 

グラス:テイスティンググラス
場所:萌木の村 BAR Perch
時期:不明
暫定評価:★★★★★★(6)

香り:しっかりとスモーキーで燃えた後の薪のようなニュアンス、オールブラン、ほろ苦いモルティーなアロマのなかに、柑橘や乳酸系の酸を伴うアロマ。微かに塩素のような薬品香も。

味:香ばしくやや尖ったようなモルティーさと、合わせて土っぽいピート。それらをコーティングするような樽由来の要素。プラムの果肉、オレンジピールを思わせる微かな酸とビターなフレーバーを感じる。
余韻にかけてはピーティーな苦味とスモーキーフレーバーが強く主張し、若干の荒さ、スパイシーさを口内に残して長く続く。

リフィルシェリー樽だが、シェリー感は若干の酸味程度で、シェリーシェリーする味わいではない。むしろ樽由来の要素が酒質由来のピーティーさとうまく馴染んで全体の荒さをコーティングし、バランスの向上に一役買っているようだ。近いキャラクターではアードモアをイメージする仕上がり。


マル島にあるトバモリー蒸留所において、トバモリー名義のものは、オフィシャルではノンピートの仕込みのモルトに用いられる名称。ピーテッドモルトを使ったものはレダイグですが、このボトルはレダイグと同じピーテッドモルトを使った仕込みのようです。

ハートブラザーズをルーツに持つ、モルトマンシリーズは、マイナー蒸留所でも安定したというか、日本人好みのチョイスが多い印象が個人的にあります。そのモルトマンから日本市場向けにリリースされたものが、今回のトバモリー20年。
調べてみると結構売れ残っているようですね。トバモリーという蒸留所の人気に加え、メーカーコメントだと、どっちの属性かわかりづらいので警戒されているのかもしれません。

トバモリー(レダイグ)といえば、1990年代より前のそれは香味がとっちらかっているというか、飲み疲れるようなまとまりの無さが特徴でした。
1993年にバーンスチュアート社が買収、テコ入れした結果、近年リリースされたオフィシャルのうち、短熟はそれなりであるものの、近い熟成年数であるオフィシャルのレダイグ18年はこれまた煩い味わいで、酒質がそんなに強くないのかなと思っていたところ。
これが案外悪くない。何より20年という熟成が近年の短熟アイラにはないバランスのよさで、日本向けにインポーター側の選定者が選んだ理由がわかるような構成でした。

ただ同じモルトマンからはレダイグ1997もリリースされているため、なぜこの味でトバモリー名義なのかは・・・疑問が残るところです。単に重複を避けただけか、あるいはサンプル事故とか・・・?






ロブロイ 12年 1980年代流通 特級表記 43%

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ROB ROY  
Years 12 old 
Fine Old Deluxe Quality 
Scotch Whisky 
1980's 
750ml 43% 

グラス:国際企画テイスティング
時期:開封後1週間以内
場所:お酒の美術館 神田店
評価:★★★★★★(6)

香り:ピーティーで薄めたみたらし、干し藁のような乾いたニュアンスと若干の紙っぽさ。仄かにハイトーンな刺激を伴うが、時間経過で微かな古酒感と、オレンジママレード、スモーキーなアロマに変化する。

味:ねっとりとしてコクのある口当たり。べっこう飴の甘味とオールブランやオレンジピールのほろ苦さ、土っぽいピートフレーバー。徐々にスパイシーでヒリヒリとした刺激が感じられる。
余韻はみたらしのような粘性のある甘味が舌に残りつつ、スパイシーで焦げたようなピーティーさ、張り付くような余韻で長く続く。

グレンギリー系の強いピーティーさ、オーヘントッシャンの3回蒸留らしい尖った風味。そこに熟成したグレーン。ボウモアよりもこの2つのモルトの影響を強く感じる。少量加水すると刺激が和らぎカラメル系の甘味が広がってバランスが良くなる。開封後時間が必要かもしれない。

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1980年代にボウモア、オーヘントッシャン、グレンギリーの3蒸留所を傘下としていた、モリソンボウモア社がリリースしていたブレンデッド。先日レビューした10年の他、12年があり、1990年代以降ブランドとして残るのはこの12年のほうです。
もっとも、日本には1990年代中頃ないし後半あたりから輸入されていなかったようですが。。。

ロブロイ12年は、1990年頃に角瓶からなで肩のデキャンタデザインに変更。日本に流通しているボトルはこれが最後となりますが、この頃のロブロイはボトルのキャップが樹脂製で、キャップ汚染の進んだロットが複数見られること。
また、蒸溜時期1980年代は、ボウモアだけでなくグレンギリーにもパフュームフレーバーが出ることから、それらを構成原酒とするロブロイにも同様の変化が出ているロットがあり、ダブルで注意が必要。オフフレーバーと石鹸を好むマニアックな趣味が無い限り、角瓶時代のロブロイを狙うのがオススメです。

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(同時期に流通していたロブロイ10年、トップの写真は照明の関係でわかりづらいが、色合いは10年も12年も同じ。やや12年のほうがマイルドかというくらいだが、フレーバーの系統も同じ。ロブロイとモリソンボウモア社については「ロブロイ10年」のレビュー記事を参照。)

”ロブロイ”と言えば、日本ではウイスキーよりもウイスキーベースのカクテルが有名。かつてウイスキー冬の時代は、「ロブロイをソーダ割り、氷無しで」なんて注文したところ、首を傾げながらカクテルのロブロイをソーダで割られそうになったこともあったとか。(某有名バーマンの経験談)
ですが近年はボウモアの評価と人気の高まりから、愛好家を中心に「ボウモアが使われているブレンドとして知られてこの銘柄も知られて来ているように思います。

ただ、この角瓶時代の10年、12年はどちらもグレンギリーを中心にローランドモルトをブレンドしたような、ボウモア比率が低めの構成であるところ。ボウモアが使われている=トロピカルフレーバーという構成にはなっていません。
また蒸溜時期としては1970年代の前半あたりですが、当時ピーテッドモルト代替のためグレンギリーのピーティーさが強く、またボウモアはギリギリパフュームが出ていないものの、フルーティーさは控えめに変化していた時期。このブレンドをそれらの構成原酒のキャラクターから分解すると、得心がいく部分が多く感じられるのです。






オールドエズラ 15年 2010年代流通 終売間際 50.5%

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OLD EZRA 
RARE OLD Sippin' Whisky 
15 YEARS OLD 
Kentucky Straight Bourbon Whiskey 
2000-2010's 
750ml 50.5% 

グラス:シュピゲラウ テイスティンググラス
場所:BAR Harry's 高岡
時期:不明
評価:★★★★★★(6)

香り:チャーオークの濃厚なアロマ。ややドライで溶剤系の刺激、干し草、チョコウェハース、焦げたトースト、アーモンド。ドライクランベリーやチェリーを思わせる長熟バーボンらしい赤い果実香も伴う。

味:メローで甘酸っぱい、パワフルな口当たりだがすぐにウッディでビターな苦味、タンニンが支配的になる。樽感強く濃厚だが、甘味を持続させるコクが足りない。
余韻はビターでウッディ、軽いえぐみを伴ってドライ、スパイシーなフィニッシュが長く続く。

微かに赤みがかった濃い色合い。香りは長期熟成バーボンらしい濃厚さと果実味、素晴らしい部分が多いが、味は樽のドライさやエグミなどの要素が混じってしまっている。ただ充分美味しいバーボンであることは間違いない。加水すると多少マイルドにはなるが、ボディが軽くなりすぎてしまう。

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2010年前後で終売になったと思われる、オールドエズラ(エズラブルックス)の最長熟成品。ですが、終売後10年近く経ってなお在庫があるのか、近年も流通が。。。ってこの書き出しは先日も使ったのですが、今回のテイスティングアイテムはまさにその現在も流通している並行品(在庫)なので、これ以外の書き出しはないというか、決して手抜きではないのであります。

さて、オールドエズラの発売時期に加え、1990年以前に関する情報は、以下の時代のレビュー記事とコメントを参考にしていただければ、現在一般に知り得る事が出来る情報はほぼ網羅できると言えます。スコッチに比べ、バーボンの情報はインポーターのやる気か、あるいはアメリカ側の雑さからか、明らかに間違っている情報がそのまま広まっていたりするので、実際にモノを見てきた愛好家による記事の補足は本当にありがたいですね。

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(1980年代流通、ラベルデザイン的には2世代前に当たるオールドエズラ。中身はメドレー蒸留所の原酒と考えられ、なによりオールドバーボンらしい艶やかな甘味とコクが香味に感じられるのが最大の特徴と言える。流通時期考察等を含むレビューはこちら。)

今回のボトルは、前回さわる程度だった1990年代後半以降。ヘブンヒル蒸留所の原酒を用いていた終売間際の頃と思われるもの。
オールドエズラは1991年に一度生産を休止したものの、その後すぐに再版。ところが2000年代後半に再びメーカー生産中止となって終売。。。2008年にはリーマンショックがあり、不況の影響から販売計画を見直したか、あるいは旧ヘブンヒル蒸留所の火災が絡んでいるのでしょうか。
ヘブンヒル蒸留所は1996年に大火災が発生、44棟のウェアハウスのうち7棟90000万樽と、蒸溜設備が焼失するという大きな被害があったことは有名な話です。その後、ヘブンヒル関連の既存のリリースは一部縮小しながら残ったストックと、別蒸留所に委託して凌ぎ、ルイビルのバーンハイム蒸留所を1999年に買収して蒸留所名としては復活を遂げました。

旧蒸留所で作られていた限りある原酒とニーズの変化もあり、2000~2010年頃にかけて多くの長期熟成銘柄が姿を消すのと合わせ、このオールドエズラ15年もまた同様に終売となった・・・という情報があれば、2010年頃、日本からの要望を受けて原酒ストックを調整し数量限定で再び生産されるようになったという話もあります。
これもすぐに終売になったようで、そもそも本当に作られていたのか、在庫を並行輸入しただけだったのかは謎です。

まあ、ヘブンヒルの火災時期である1996年から、15年熟成を名乗れるのは2011年ないし2012年が最短の払いだしですから、ここがオールドエズラ15年のラストイヤーなのかもしれません。

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