【BAR訪問記】Paradee (パラディ) @野毛 桜木町

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JR桜木町駅下車、"野毛の近道"と呼ばれる地下通路を通った先、ブリーズベイホテルの隣にプチダイニングバー パラディがあります。
ダイニングという表記そのまま、木目調の入り口から覗く店内は、近年流行りのライブカウンターのレストランと見間違うかのデザインですが、其処彼処にはレストランにないようなオールドボトルの数々。席に着けば約300種類というボトルが視界に飛び込んできます。


「ご無沙汰しております。」
先日、オーバン14年の投稿で触れましたが、パラディに足を運ぶのは実に4年ぶりのこと。
今から6年前、ちょうどモルトウイスキーの楽しさに目覚めた頃。地元のBARのマスターから紹介されて、更にお酒の楽しさを教えて貰いましたが、居住地を都内に移してからは足が遠のいていました。


パラディさんに伺ったら、まず飲みたいのがガロンボトルのハイボール。
同店は現行品よりも1990年代以前に流通したウイスキーやリキュールの品揃えが豊富であり、特にブレンデッドウイスキーは通称ガロンボトルと言われる、1ガロン(英ガロン:約4.5リットル。米ガロン:約3.75リットル)サイズで販売されていてたオールドボトルをハウスウイスキー的に扱っています。
検証をしたことはありませんが「サイズの大きいボトルの方が、光、温度、空気、様々な要因に対して強く、状態が良い」ということ。今回はシーバスリーガル、ホワイトホース、マーテルが開封されており、この中からホワイトホースの1970年代流通を頂きます。

(一般的なタンブラーサイズだが、ガロンボトルと対比すると、ショットグラスのように小さく見える。。。)

パラディのバックバーはウイスキーを中心にラインナップされていますが、ウイスキー以外にオールドリキュール、シェリー、その他の酒類もコアなところが揃っており、マスターの知識も当然豊富。
かつてウイスキー一辺倒だった自分ですが、最近様々な酒類を勉強中で、今日はシェリー酒に浮気です。
10年くらい前に流通したパロコルタド。深い酸味とコク、奥に潜むレーズン、樽由来の甘みが実に美味。オールドのハイボールで口に残った甘みをしっかり引き締めて次にバトンを渡してくれます。


さて、準備運動の2杯を終えたところでいよいよ本題。先日、パラディは開店15周年を迎えました。
同店は毎年周年記念としてレア物のウイスキーを開封して提供しており、15周年の当日は、15年ものを中心にマスターこだわりのウイスキーが15本開封されました。

ジュエルオブスコットランドのブローラ、エイカーダイクのポートエレン、ラガヴーリン陶器ボトル、そしてマスターの愛するスプリングバンク。。。
周年当日に行われた記念営業でいくつかのボトルは天に還ってしまったようですが、今回は残ったラインナップから1杯頂きます。

1980〜90年代流通のGMスミスズグレンリヴェットの15年。しっとりとした甘みを感じる口当たりから、麦芽風味、そしてスモーキーフレーバーが広がる、今とは異なるスタイルのグレンリベット。1杯目からでも楽しめるナイスな1本です。
「グレンリベットはモルトウイスキーの基本。味わいは変わっても、その時代その時代で基本になるキャラクターがあるよね」とはマスター、赤羽さんの言葉。
確かに近年のリベットはピートフレーバーが控えめで、今回テイスティングした15年とはキャラクターが異なりますが、華やかでバーボン樽の香味が主体的なキャラクターは、今の時代のトレンドでもある訳です。

赤羽さんは「ウイスキーの香味を育てる」という考え方で、ボトルを扱われています。
ウイスキーの香味はボトルの中で絶えず変化していて、それは熟成とは異なる、持っている要素の中で、ある要素が開いている時、別な要素が裏に回るという話であったり。
あるいは、ボトルの中の空間部分にウイスキーの香りが充満すると、それが再度溶け込み、香りが循環していくという考え方であったり。
科学的というより、感覚的な話かもしれませんが、そうして「これは良い」と感じる状態に至ったボトルを勧めてもらえるのは、単にニューリリースを探るだけではない、BARの個性や考え方をも飲むことができる楽しみでもあります。

関連するエピソードとして、以前オールドのアベラワー10年を頼んだ時のこと。至って普通の1990年代流通のアベラワー10年だったのですが、「これはもう最高の状態よ」と、グラスに注がれたそれが店内いっぱいに広がるほど香り立ち、なんでこれほど香るのかと、びっくりしたのを今でも鮮明に覚えています。
それは店内を清潔に保つ、グラスをしっかり磨く、室温を適切に管理するなど、飲食店としてある種当たり前のことを積み上げた上で引き出されたボトルのポテンシャルだったのだと思いますが、まさに"こだわりの仕事"だと感じます。

(「今日はどのボトルの機嫌が良さそうですか?」と頼んで出てきた1本。パールズオブスコットランドのトーモア1995。トーモアらしい軽いオイリーさと、オークフレーバーが馴染んだ親しみやすい1杯。)

お酒ばかりの紹介になってしまいましたが、パラディはフードメニューも充実しており、食事とお酒を合わせて楽しむことも出来ます。
あるいはここは野毛、非常にディープな夜の街。そんなお店でちょっと1杯引っ掛けてから、締めの1杯を飲むために足を運んでも良い。
この日も古くからの常連さんや、デートで来店されたご夫婦、瞬く間に飲まれていったバーホッパーの方、様々なお客で静かな賑わいを感じました。
そう、最初に書くべきことでしたが、このBARは飲んでいて楽しいのです。
マスターのひととなり、雰囲気がそうさせるのだと思いますが、店内には必ず笑顔があります。

15周年という一つの区切りを迎えたダイニングバー・パラディ。自分がはじめて来店したのが9周年のあたりでしたので、そこからはや6年。月日が経つのは早いものです。
今後も20年、30年と、横浜の夜に、こだわりのお酒と笑顔の空間を提供して頂けたらと思います。
PUTI DINNING BAR Paradee
(プチダイニングバー パラディ)
住所:横浜市中区花咲町1-22-4
営業時間: 19時00分〜28時00分
定休日:日曜定休
TEL:045-260-6835
席数:カウンター7席

グレンドロナック カスクストレングス バッチ5 55.3%

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GLENDRONACH
CASK STRENGTH
Batch 5
Cask type Oloroso Sherry & PX Sherry
700ml 55.3%

グラス:木村硝子テイスティンググラス
量:30ml程度
場所:個人宅
時期:不明
暫定評価:★★★★★☆(5→6)

香り:強いアルコールの刺激、スパイシーでミントの爽やかさを伴うウッディな香り立ち。奥からキャラメルソース、ドライプルーン、シーズニングオークの甘いアロマが開き、特に加水することでバランスがとれてくる。

味:スパイシーでハイトーン。ブラウンシュガー、ドライプルーン、アーモンドクリーム。香り同様の構成で、強いアタックの奥に粘性のある甘み。余韻はウッディでドライ、ヒリヒリとした刺激を伴い長く続く。

ハイプルーフらしい強いアタック。シェリー感は少々薄めだが、嫌味の少ないシーズニングシェリーで、加水するとまろやかな甘みのある香味を楽しめる。若くはあるが、酒質の素直さも光る1本。少量加水して楽しみたい。


グレンドロナックが2012年から毎年1~2バッチリリースしている100%シェリーカスクのカスクストレングスリリース。バッチ5は2015年のリリースで、昨年リリースされたバッチ6が最新。ファンの多い銘柄でもありますが、グレンドロナックはベンリアックらと共にブラウン社に買収されたため、今年バッチ7がリリースされるかは現時点で不明となっています。

その構成、位置づけはグレンファークラス105を彷彿とさせる、推定8~10年程度のヤングエイジのハイプルーフシェリーカスクです。
ただバッチ1~3のシェリーカスクはシェリーカスクでも、樽の内側をチャーした際に出るフレーバー、木のえぐみというかクレヨンっぽさが強く出ており、若い年数で樽感を強く出すためにシェリー樽をリチャーしたものが使われたのではないかという印象。自分は自宅での樽いじりの経験からこの手のフレーバーに敏感で、ましてシェリーのそれと混じった異物感が受け入れられず。バッチ1はウイスキー仲間からブラインドで出されて酷評、バッチ2、バッチ3も一応飲んでみたのですが、同様のイメージが変わることは無く。。。もうこのシリーズはいいやと、飲まず嫌いを決め込んでしまっていました。

それが先日、友人宅での持ち寄り会でバッチ5を飲んでみたところ、シェリー感はあまり強くないが素直なシーズニングタイプで、これまで感じていた異物感のない仕上がりになっていてびっくり。テイスティングにも書きましたが、ストレートではアタックが強いですが、少量加水するとまろやかな口当たりでぐっと飲みやすくなり、さらに良い感じ。類似のタイプとしては、タムデュー10年のバッチリリースNo,1あたりで、やはり飲まず嫌いはいけないなと、認識を改めさせられました。
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(グレンドロナック蒸留所のツアーにて。写真左奥、初留釜のネック部分の独特な形状に注目。2005年までは石炭直火蒸留が行われていたが、現在はスチームに切り替わっている。同蒸留所ニュースピリッツは雑味が少ない代わりに麦感が強い。現行品の中では色物扱いだが、本腰を入れて作ればシェリー樽以外のリリースも光るモノが生まれそう。Photo by K67)

グレンドロナックはシェリー樽が高騰する中にありながら、シェリー樽100%リリースに方針転換し、この6年間強リリースを続けてきたわけですが、1996年から2002年までの休止期間など谷間の影響もあり、徐々にシェリー樽以外のリリースも増えてきています。
昨年は15年が終売、21年は限定生産。タンク貯蔵していなければ18年以上の原酒オンリーとなっているアラダイス18年も、今年のロットがあるかどうかというきわどいところ。精力的にリリースが続く1990年代のシングルカスクシリーズもいつまで弾が続くのか・・・。

そうした中、このカスクストレングスシリーズのシェリーカスクは、再稼動後のドロナックメインと思われる新世代。樽でマスク仕切れていない若々しく強い勢いは、荒削り感のあるリリースといわざるを得ませんが、バッチ5には新しい可能性を見出すことが出来ました。

タムデュー 33年 1969-2003 ハートブラザーズ 40.5%

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TAMDHU
HART BROTHERS
Aged 33 Years
Distilled 1969
Bottled 2003
Cask type Hogshead
700ml 40.5%

グラス:木村硝子テイスティンググラス
場所:自宅
時期:開封後3年程度
評価:★★★★★★(6)

香り:華やかでオーキーな軽い香り立ち。乾いた牧草、バニラ、バナナケーキの甘み、ほのかにパイナップルを思わせるフルーティーさ。時間経過で林檎や土っぽい香りも開いてくる。

味:ドライでナッティ、ほろ苦い乾いたウッディネスから軽い刺激を伴う口当たり。すぐにバニラの甘みと麦芽風味、洋梨。ボディはライトで樽感主体の構成。
余韻はスパイシーで華やか、オーキーなフルーティーさと麦芽風味を伴い長く続く。

所謂樽しゃぶり系ウイスキーで、ホグスヘッド系のフレーバーが主体的なボトルだが、中間以降の麦芽風味にタムデューらしさを感じる。少量の加水で香りは麦芽香主体に、味はドライさが和らぐものの、全体的にプラスとは言いがたい。
タムデューは2010年に一時閉鎖され、2013年に再稼働。古くは1972年及び1975年にそれぞれ改修工事がされており、今回のボトルはその前の蒸留。原酒にどんな違いがもたらされたのかは。。。


度数落ちの典型例とも言えるフレーバー構成。当時のハートブラザーズはこの手のリリースが多い印象があります。
ハートブラザーズは1990年代頃は43%や46%の加水ボトルを主体にリリースしていましたが、ラベルが変わってからはカスクストレングスで度数落ちリリースがメイン。元々加水で出すので度数はあまり関係なく樽買いしていたものの、カスクストレングスの需要が増えたのでそのままリリースするようになった(結果、低度数が多かったが、最近は高度数化)、という流れでしょうか。あくまで推測に過ぎませんが、最近見なくなってしまったリリースの傾向です。

このブログでも度々触れていますが、ウイスキーの熟成は足し算と引き算の積み重ねです。
(某メーカーが「何も足さない、何も引かない」というキャッチコピーを使っていましたが、それでは一体何を作っているんだと。)
足し算は樽由来の香味、あるいは熟成させる場所の空気を介したその土地の何か。引き算はウイスキーを構成する成分。熟成が進めば樽由来の香味の足し算と共に、樽の呼吸を解してアルコールや雑味といった要素が引かれていくのですが、実は引き算される要素もまた、ウイスキーの香味の厚みや複雑さ、言い換えれば個性を担っているところもあり、必要以上に引き算が続くとこの度数落ちのボトルのようにボディが軽く、樽の香味だけが残っていくような構成になる。つまり、過熟です。

ピークがどこにくるかは熟成させる原酒の酒質に加え、樽の種類、さらには熟成環境(気温や湿度)が大きく異なり、一概には判りませんが、流石にホグスヘッドで度数が40%ギリギリまで落ちる40年はやりすぎ。
とはいえ、テイスティングにも書いたように、樽感主体の味わいの中に、1960年代のモルトに感じられる土っぽさ、麦の味わいが残っており、最後の輝きを楽しむことは出来ます。
また、度数が低いので開封後足の速いモルトかと思いきや、あまりへたることなく、樽感もまだまだパリッとしている。最近ようやく麦芽系の甘い風味が感じやすくなったのは収穫でした。

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以下雑談。
さる3月25日は私の誕生日。今年で33歳となりました。
せっかくなので生まれ年、1984年蒸留の何かを開けるかとも思いましたが、ちょうど良いモノが無かったので33年熟成のウイスキーを飲むことにしたわけです。
こういうとき、1980年代のロストビンテージ生まれはなかなか苦労しますね。

家族での誕生パーティーメニューは、我が家の最重要事項である息子の一声で"餃子"に。ハンバーグとかステーキじゃなくて、餃子なのか・・・(笑)。これにケーキですから、テーブルの上にちょっとした異世界が広がっています。
土曜の日中外出する妻に代わり、自分で自分の誕生日を祝うメニューを作る妻子持ち会社員(33)。
そんな疲れも吹き飛ぶ息子と妻が歌う誕生日ソング。後片付け含め、昨晩は完璧にやりきりました。

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